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染谷 ゆみさん 株式会社ユーズ代表取締役
東京大油田構想で循環型社会を目指す
廃食油を再生に格闘の日々

使い終わった食用油を回収し、代替え燃料として再利用するVDF(ベジタブル・ディーゼル・フューエル)が注目されている。VDFで車を走らせると、黒鉛の排出量は軽油の1/2以下で燃費は変わらない。使用する際、特に車を改造する必要もない。
染谷ゆみさん(39歳)は、このVDFの開発、製品化に向けての研究を、世界に先駆け、90年代初頭から取り組んできた。 日本国内で一年間に廃棄される廃食油はおよそ40万トン。 「これをただ生活排水にするのではなく、VDFに精製すれば約40万台の車を走らせることができる」 植物油のリサイクルによって燃料として利用するという、東京を油田に見立てた「東京大油田構想」を思い描いている。

染谷さんは、18歳の時、アジアを旅していた。ネパールの山道で土砂崩れに遭遇し、たった今自分たちが歩いて来た道が瞬時に失われ、九死に一生を得るという経験もした。
「これは天災ではない。人災だ」。
そう呟いた村人の言葉が忘れられない。

当時の日本といえば、バブル景気に浮かれ、消費こそ善きことといった時代にあり、アジア諸国でも経済発展を背景にしたコンクリートの埋め立てや舗装道路工事が盛んに行なわれ、近代化を遂げる最中にあった。
その時期に、インド、中国、チベットなど、アジアを旅したことや、ネパールでの土砂崩れの体験から、近代化とともに失われていく自然、環境問題について意識するようになった。

旅を終え、一度は旅行会社の香港支店に勤務するが、何か環境にまつわる仕事をしたいと思い、起業情報や環境団体のことを調べていた。すると、灯台下暗し。家業は祖父の代から油のリサイクルを行なっていた。改めて実家の事業を見直し、入社の希望を申し出るとともに、飲食店から油を回収し、資源となる自社製品を開発するという事業プランを打ち出した。
そして、度重なる試作の末、93年VDFの製品化に成功した。

独立後も資源となる油の回収に力を注ぐ。大量消費する飲食店からだけではなく、一般家庭から出る廃食油もリサイクルに結びつけたいと、ペットボトルに入れた油を10回送付すれば、森一坪(3.3平方メートル)と交換する「油と森の交換システム」を取り入れた。また本やVDF、提携店で商品券として利用できる目的限定型地域マネー「U's Money」と油の交換も行なっている。
「環境にやさしい仕事といえば聞こえはいいが、実際、油の回収は重労働」
循環化社会を唱え、社会全体でリサイクル意識の高まることを願うとともに、働き手の確保も今後の課題のひとつだ。
PROFILE

株式会社ユーズ
http://www.vdf.co.jp/
1997年設立。廃食油の回収、再生事業を手がける。環境にやさしいディーゼル燃料VDFを製造、販売し、地域活性化事業、資源循環型社会づくり事業を手がける。
会社所在地は、東京都墨田区

そめや ゆみ
高校卒業後、1年間アジアを旅する。1988年エイチ・アイ・エス香港支店勤務。91年実家の染谷商店入店後、てんぷら油で車を走らせる事業を手がける。93年廃食油から環境にやさしいディーゼル燃料VDFを製造・販売する。97年ユーズ設立。39歳。東京都出身。
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