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前回は受賞の経緯について紹介しましたが、今回は起業をした背景について述べたいと思います。理系の中でもとくに数少ない物理学を専攻する女子学生たちと培ってきた研究の中には、生活や社会に対する女性ならではの視線や根気よさが反映されてきたと思っています。
なかでもレーザ光を光源とする「光エレクトロニクスの研究」の成果は、論文発表などのアカデミックな分野に留めずに、ぜひとも社会に還元し、安心・安全な環境づくりに貢献したい、と以前から考えていました。
折しも2004年、ハワイ島にある日本が誇るすばる望遠鏡に、研究室で設計・作製した高分散分光素子が搭載され、従来に比べて数倍の精度の高いデータを取得するという結果を残すことができました。国立天文台からはこの貢献に対して特別感謝状も頂き、開発に携わったもの(社会人の卒業生も含めて)が大いに感激し、研究室をあげて研究成果の社会貢献の意義を実感したのです。
一方で、光による演算システム(コンピューター)の開発でも、顔画像の識別や動画像の認証が、面白い程高速に、かつ的確に出来るようになってきました。
そこで、この成果のライセンス供与などを目指して、女子大発のベンチャーPSS(正式名称 Photonic System Solutions)を立ち上げてはどうか、という話になり、共同研究を進めてきた教え子と2人で起業することになったわけです。
日本の大学を見回すと、少子化や産業界とも連携しつつ人材育成する必要に迫られていることもあり、大学発のベンチャー企業も少しずつですが増えています。
しかし、競争的資金をとりながら研究を継続・展開していくのとは全く性格も規模も異なるこの領域では、志も高く、積極的な女性起業家の皆様方とは異なり、手探り状態の現状です。ただひたすら、次に続く理系女性の一つのロールモデルになれば、との想いで設立に踏み切りました。起業に際しましては朝日新聞のひと欄にも取り上げられ、多くの反響がありました。このことは、事業化に向けて、学生も含め大変励みになっております。実質面では雇用の問題など不慣れな作業も多いのですが、スタッフとともに、知恵を出し合いながら、研究同様、楽しみながら起業のプロセスも乗り切ろうと前向きにがんばっているところです。
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