| vol.06 「経験はどう生かす?その2」 |
前回のコラムから引き続き、前職の経験を生かして起業するときに気をつけなければならないケースを見ていきましょう。
(前回は、前職での不満からこだわりすぎてしまう人が陥りやすいワナについて書きました。)
◆同じ会社が二つ?〜差別化ができてると思い込んでる人
前職の会社とは同じ業種だが、提供するサービスでは、いくつかの点で差別化を図っている。前の会社でのサービス提供価格と同程度での価格設定をしてみたが、どうも新たなクライアント獲得ができない。前職で自分が担当していたクライアントは、起業とともに新会社に引き継いでくれたため、毎月の売り上げは起業当初からそこそこ上がっている。
このケースの場合、起業当初からクライアントがいることや、それによって一定の業績がついてきていることから、問題がないとも言えます。自分の会社を持ちたい、会社が存続するだけの売上と利益が確保できれば満足、ということであれば、このままでもいいかもしれません。
しかし、今後会社を拡大させたいと考えた場合や、将来競合する企業が出てくるかもしれないことを考えると不安な点があります。
まず、本人は前の会社と同業であっても、サービスにおいて差別化ができていると思っている点。よくあるのは、「ここが他社とは違うんです!」と強調している点が、実は顧客から見ると、そんなに重要ではなかったりする、あるいは違いがわかりづらい、というケース。そのサービスや商品をよく知っている起業家本人が思っていることと、お客様の視点がずれてしまっている。そもそも、サービスや商品は実際に消費してみないと、違いがわかりづらいことが多いので、顧客へのアピールはなかなかできないものです。よく言われる「差別化」は、起業するみなさんにとっての「差別化」ではなく、お客様にとっての「差別化」になっていることが必要です。
そして、価格設定。後発の企業だと、低めの価格設定でクライアント獲得に走ってしまい、利益率が低い、もしくは赤字、という状況を招きやすいので、過度な低価格戦略をとっていない方が、評価できます。でも、結果として新たなクライアントが獲得できていないということは、先に書いたように、その価格設定では、他の会社に比べて魅力的と思えるだけのサービスや商品ではないか、その魅力が伝わっていない、ということだと思います。
では、こんな状況を防ぐためには、どうしたらいいのでしょうか?一つ考えられるのは、自分とまったく違うバックグラウンドの持ち主の意見を聞けるようにしておくこと。そうなると、社長の右腕、つまり副社長のイメージがあるかもしれませんが、最初から社員になってもらわなくてもいいでしょう。会社が軌道に乗ったら、アドバイザー的な存在の人に、副社長なり役員なりで入社していただく、という会社をよく見かけます。起業するときは、とにかく前に進むエネルギーが必要。ちょっと引いた視点で見てくれる人は、社外から。そして起業後に一段落ついたら、一緒に会社を運営していく、というのがやりやすいのかもしれませんね。
(参考)大和総研では起業家のための「新規産業レポート」を公開しており、「利用しやすい女性向けサービス」を連載しています。
大和総研:www.dir.co.jp/eir/
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